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FSPデータ活用講座 第11回

会員比率を時系列で見る

カードを導入して最初に見るデータといえば『会員比率』。全取引数の70%、買上金額の80%がカード会員となることを目標に、日々この数値を見ながら会員募集を行なったのではないかと思います。
※会員比率を高める方法は第2回を参照
その後は、月次で比較してどれだけ会員比率が高くなったのか、あるいは会員比率を維持しているのかをチェックするのですが、カード導入からある程度の月日が経過して高い比率で会員化が維持できるようになった段階では、単に会員比率を維持出来ているかどうかの指標として『会員比率』を見るだけではあまり意味がありません。

そこで、各月の買上金額と会員比率、取引数と会員比率を時系列に並べてみます。例えば12ヶ月分の会員比率を並べてみる、あるいはカード導入時から現在までの会員比率を時系列に並べてみます。これまで実施してきたカード戦略がお客様に浸透しているか、あるいは競合店の影響で会員比率がどう推移しているのかなどを把握するためです。

下のグラフは、某年1月のオープンと同時にカード会員募集を行なった食品スーパーの、導入から1年間の会員買上額と会員比率の推移です。2ヶ月目に早くも80%を超えてからは順調に会員比率が高くなってきています。
ただし8月だけはやや会員比率が落ち込んでいます。その理由は近くの観光地に来た旅行客が買物したのが理由でしたが、翌9月から11月にかけて会員比率が高くなったのに対し買上金額がやや減少傾向でした。

買上金額が減少傾向になった理由は、季節的なものや商圏内の競合店状況など様々な要因から多角的に分析する必要がありますのでこのデータだけでは分かりませんが、「会員比率が高くなる=買上金額が高くなる」という訳ではないという事はわかります。

カード会員比率とは「買上金額全体に占めるカード会員買上額の割合(対金額比の場合)」ですから、非会員の旅行客がたくさん買物した8月は会員比率が低くなるのが当然です。一方、9月から11月にかけて買上金額が下降気味なのに会員比率が高くなったのは、会員買上金額も下降気味ではありましたが、それ以上に非会員の買上金額が減少したためです。
非会員の買上金額が減少した理由としては、カードを導入してから半年以上経過して、会員価格やプレゼント企画などの会員様特典を一通り実施した結果、優良会員様には支持されつつありましたが、買い回りされている層、そしてまだカードに入会していないお客様へのアピールが少ない事が理由と考えました。
そこで毎月の会員特典が分かり易いようにと『今月の会員特典』と題したハンドビラを作成してサッカー台やサービスカウンターに設置すると共に、まだカードに入会していないお客様にもレジで手渡ししました。そしてハンドビラを配布すると同時に、会員になると得られる特典を実感してもらう目的で、入会した日からすぐに参加できるスタンプラリーを実施して、ご来店頻度を高める企画を打ち出しました。その結果、年末商戦を迎えた12月度はオープン以来最高の売上高となっただけでなく、カード会員比率も86.6%と、これまで以上に高い構成比とする事ができました

カード導入以来進めてきた顧客戦略が本当にお客様に支持されているのか、経営陣を筆頭に、社員・パート・アルバイトまで含めて、当初掲げたカード導入の思想にブレが生じてないか、そういった顧客戦略に対する総合的な取り組みの結果が、カード会員比率の推移となって現われているのです。わかり易く例えると、お客様がつけてくれた「顧客戦略の取り組みに対する成長記録」なのです。

カード導入からしばらく経過したお店も多いかと思いますが、だからこそ、長い期間で会員比率がどう推移してきたかを見る事ができるのです。基本に立ち返ってもう一度『会員比率』を見て、 これまでの成長の足跡を確かめてみませんか。
参考までにカード会員比率の推移から読み取れる簡単なフローチャートのサンプルを作成しました。単純な内容ですが、予めこのようなフローチャートを作っておけば「次に何をしたらよいのか」という際のヒントになりますので、このサンプルをもとに各店で独自のフローチャートを作ってみてはいかがでしょうか。
そして蓄積された貴重な購買履歴データのトレンド(推移)から推測される仮説を元にプロモーションを実施・検証されたなら、またフローチャートに付け加えるのです。やがて御社だけの貴重な顧客データ活用フローチャートが出来あがる頃には、お客様にとっても従業員にとっても今以上に魅力的なお店となっていることでしょう。


(別ウィンドウで開きます)

次回は、会員比率の推移から読み取れる様々な仮説を、事例を交えてお話し致します。

 

東芝テック株式会社 FSP・コンサルティング担当


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