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FSPデータ活用講座 第8回

買上部門から検討する中位ランク育成企画

前回に続いて、今回も会員のカテゴリー別購買実績の活用方法ついてお話しいたします。

前回は、家計調査の支出金額に対して自店でお買上されている割合がどれくらいなのかを比較して、自店の強み・弱みを把握する方法を説明いたしましたが、今回は、上得意様と中位ランク会員を比較して、効果的なプロモーションを考えてみようと思います。

データ活用講座 第5回でランク別プロモーションの考え方についてお話しいたしましたが、今回検討するプロモーションは、中位ランク会員をターゲットとした「育成するプロモーション」です。
中位ランク会員にもっとお買物してもらうためには、来店回数を増やすプロモーションが良いのか、買上点数を増やすプロモーションが効果的なのか、それとも一品あたりの単価を上げるプロモーションが良いのかなど、中位ランク会員の特徴をカテゴリー別購買実績データから想定し、より効果的なプロモーションを検討しようというものです。

今回用意する帳票は『会員のステージ(ランク)別・カテゴリー別購買実績』です。この帳票からは、ステージ毎の各カテゴリー買上金額や、合計買上金額に占める各カテゴリーの構成比を知ることが出来ます。

さっそく上得意様と中位ランク会員の各カテゴリーの構成比を比較してみましょう。すると中位ランク会員の特徴が浮かび上がってくるのです。

中位ランク会員の特徴

(1)生鮮品の構成比が低くグロサリーや惣菜の構成比が高くなっている。
(2)買上金額の差こそあれ、カテゴリー構成比は上得意様とあまり変わりがない。

多少の差こそあれ、食品スーパー様では同じような特徴が現われたと思います。
では、このような特徴の中位ランク会員は、いったいどのようなお客様なのでしょうか。

まずは(1)の場合。
このような店舗の中位ランク会員の多くは「買い回り客」ではないかと仮定できます。
これまで説明したデシル分析などからもわかるように、一般的な食品スーパーの場合、上得意様と比較して中位ランク会員の来店回数は少ないのが普通です。そして買物の中身を覗いてみると生鮮品の構成比が低いのです。という事は、他店も併用している買い回り客と考えるのが妥当です。
一般的に、生鮮品の構成比が高いほど来店頻度が高くなると言われていますので、まさしくそのとおりです。『来店頻度が低いから生鮮比率が低い』のか、『生鮮比率が低いから来店頻度が低い』のかは、「ニワトリと卵はどっちが先?」と一緒で結論は出ないと思いますが、いずれにしろ他店で足りない生鮮品を買っている(むしろ当店で不足分を買っている)買い回り客と考えます。
(余談ですが、ニワトリと卵は「卵が先」という結論が出たようです)

但し、お店によっては生鮮品全般の構成比が低いとは限りません。上得意様よりむしろ中位ランク会員の方が「青果の構成比が高い」「鮮魚の構成比が高い」という店舗も数多くあります。例えば青果の強いお店。上得意様同様に中位ランク会員も青果を中心に買物しますが、残念ながら鮮魚や精肉などは他店で買物しています。すると確かに青果の構成比だけは高くなっていますが、鮮魚・精肉を買って貰えないのですから、やはり「買い回り客」であると考えられます。

この場合、考えられるプロモーションとしては…

  • スタンプラリーなど期間中の来店回数に応じて特典が得られるプロモーション
  • クーポンや会員価格など生鮮品の買上を促進するプロモーション

など、「あと1回」「あと1品」を後押しするようなプロモーションが考えられます。

一方、(2)の場合はどうでしょう。
このようなお店の中位ランク会員は、単身者や夫婦2人だけといった「少数世帯家族」ではないかと考えられます。買上金額こそ少ないものの、上得意様と同様に各カテゴリーを満遍なくお買物されているという事は、一通りの買物を当店で賄っていると考えられるからです。もしそうであるならば「あと1回」「あと1品」を後押しするようなプロモーションでは限界があります。お客様の胃袋の数と大きさには限界があるのですから、いくら「たくさんご利用いただければお得ですよ!」と謳っても「そんなに必要ないわ」と思われてしまう事でしょう。

そこで、先程の例のようなプロモーションよりもむしろ

  • こだわり商品のクーポン券など一品単価を高めてもらうプロモーション

などの方が効果があるかもしれません。

上得意様と中位ランク会員のカテゴリー構成比

このように、上得意様と中位ランク会員のカテゴリー構成比を比較すれば、中位ランク会員の特徴をある程度掴むことが出来ます。そうすることで自店のお客様により適したプロモーションを行なう事が出来るのです。

更に詳細にデータを分析すれば、より詳しく会員の特徴を知ることが出来るのでしょうが、
それよりもむしろ、店舗の立地状況や品揃え、そして普段の商売を通して肌で実感している来店客の特徴を考慮しながら、会員のカテゴリー購買実績を活用する方が大事なのです。そして仮説を元にプロモーションを行ない、その結果どのように変わったかを評価します。
例えば、商店街や都市部立地で駐車場が確保できないお店の場合、来店客の多くは徒歩や自転車で来店されますから、どうしても重い荷物やかさばるものは敬遠されます。そこである企業様は会員を対象に宅配サービスを行なったところ、買上金額・点数ともに大幅に増えたそうです。特にお米などの重いものや、かさばる商品の売上が伸びたそうです。

プロモーション結果の評価に限らず、このような比較は単月だけの実績で評価するのではなく、季節的なものの評価を加えながら時系列で見る事がとても重要です。例えば、あるときを境に中位ランク会員のカテゴリー構成比がガラッと変わっていたとすれば、以前と比べて店内で何か変わった事は起きていないか、競合店は何か新しいことを始めていないかなどと疑う事が出来ます。次回はこの点について深く掘り下げてみたいと思います。

なお、これまで説明した中位ランク会員の育成プロモーションは、あくまでも一般的な数値や事例から考えた仮説ですので、実際には様々な情報を考慮した上で、意思決定材料の一つとしてご活用下さい。


東芝テック株式会社 FSP・コンサルティング担当


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