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『売上を上げる公式とは』
『売上を上げる公式』と聞くと、何だか打ち出の小槌のような夢物語を想像するかもしれませんが、そんな大げさなものではありません。本当に打ち出の小槌があればどんなにか商売が楽になるかわかりませんが、昔から”悪銭身につかず”ということわざもありますように、簡単に手に入れたものは簡単に出て行ってしまうもの。ちなみに英語では” Easy come, easy go.”と言うそうで(こういうタイトルの曲がありますね)、こういう教訓は万国共通なのですね。
と、前置きはさておき、『売上を上げる公式』の説明をする前にFSPの基本的な考え方をおさらいしてみますと、実は「FSP」=「売上を上げる」とはなっていないのです。
FSPの基本的な考え方は「来店されている優良顧客を維持する」ことです。上位30%の優良顧客でお店の売上の70%を占める訳ですから、彼らを維持することでお店の売上のうち70%を確保しようというものです。また優良顧客は他の一般顧客よりも総じて高粗利商品を購入している一方で、バーゲン品ばかりを購入するチェリーピッカーが存在することもわかっています。よってFSPを実施することによって優良顧客を維持するとともにチェリーピッカーを排除し収益の改善を図ろうというものです。極端なことをいえば「利益を上げるためであれば売上が落ちることも止む無し」というものです。米国でFSPが生まれた背景の一つが、ウォルマートという巨大な怪物を相手に地域のSMが生き残っていくためであった訳ですから、この考え方自体を否定するつもりはありませんし、「売上よりも利益を上げることが重要」という考え方は間違っていないと思います。
だからといって売上を無視していい理由にはなりません。むしろどんな企業でも企業活動を行なう上での最終目的は「売上高を上げる」ことではないでしょうか。利益を目標とする企業も、キャッシュフロー経営を実践する企業であっても、売上高を無視しても良いというわけでは決してありません。例えば対外的に自社の概要を説明する際の指標として「年商○○億円」と表現するわけですからFSP導入目的の一つとして「売上高を維持し上げる」ことも考えなければなりません。
そこでようやく本題の『売上を上げる公式』です。
流通小売業において、売上高を上げる方法としては様々なアプローチが考えられます。例えば価格を下げずに商品回転率を高めることができれば売上高が増える計算になりますし、商品ロスを抑えることができれば値引などによる売上減を抑えることができます。では顧客管理の立場から売上高を考えると、どのような公式で求められるでしょうか。
顧客管理の面からカード会員の売上高を考えると次のような公式になります。
【公式1】
カード会員売上高 = 会員1人あたり買上額 × カード会員数 |
これだとあまりにも漠然としているので、この公式をもう少し細かくすると
【公式2】
カード会員売上高 = ( 会員の平均客単価 × 会員の平均来店回数 ) ×カード会員 |
更に細分化すると次のようになります。
【公式3】
カード会員売上高 = {( 会員の1品あたり単価 × 会員の1回あたり平均買上点数)
× 会員の平均来店回数)}
× カード会員数 |
ようは、計算上では上の公式にあるそれぞれの項目を上げることが、カード会員の売上高を上げることになる訳です。そういった観点からFSPデータを見ていくと、次に何をすべきか見えてきます。
まず、この公式をお店の売上予算に当てはめてみます。すると予算を達成するためにはカード会員が何人いないといけないか、カード会員がいくら買っていただければ予算が達成するのかが見えてきますから、カード会員を対象としたプロモーションを企画する際にも、この公式から弾き出された数値を基準に達成目標を掲げる事で、プロモーションの目的と効果測定が行ない易くなるという訳です。
例えば新しくポイントカードを始めたとき「カード会員を何人集めるぞ!」と入会者数の目標を立てる際には、単純に「1日の客数が2,000人だからその半分を目標としよう」というのではなく、「何人のカード会員を集めれば売上予算が達成できる」という視点で数値目標を設定するのです。
カード会員の数値目標を設定するには以下の公式で計算できます。
【公式4】
カード会員目標人数 = 年間売上予算÷(会員の平均客単価×会員の平均来店回数) |
例えば、年間の売上予算が12億円のお店がカード会員の買上金額で予算を達成しようとした場合、何人のカード会員が必要でしょうか。仮に会員の平均客単価が2,000円、1人あたり年60回来店(1ヶ月あたり5回来店)とすると
例) カード会員目標人数 = 120,000,000円÷(2,000円×60回)
= 10,000人 |
よって、売上予算12億円を達成するためには、10,000人のカード会員が必要になります
実際にはカード会員以外のお買上もありますから、ここまでの会員数は必要ないかもしれません。でもFSPデータを収集するという目的から考えた場合、売上に占めるカード会員買上額の割合が多ければ多いほどデータの精度が高まりますし、そもそもカード会員を募集する際は来店されているお客様全てに入会してもらうつもりで募集するのですから、この公式で求めた会員数を入会目標としてカード会員募集計画を立案するのです。
なお、ここまで述べてきた「カード会員数」とは、実際に来店いただいている「稼動会員数」の事を指しています。ですから売上高を上げるためには「稼動会員数」を増やさなければなりません。
カード導入当初はカード会員数を増やすことを考えればよかったのですが、カード導入からしばらく日数が経過すると、せっかく入会してくれたのに残念ながらその後に来店頂いていない「未稼動会員」が発生します。また、前述したカード会員以外のお客様(=非会員)もまだまだ大勢いらっしゃいます。そこで一つの方法として、未稼働会員にもう一度来店してもらうためにDMを送る、あるいはカード会員以外のお客様にカードへ入会してもらうためのプロモーションなどを実施しますが、それは『稼動会員を増やす』ことが目的ですから、当然『売上高を上げる』事につながります。
次回はこの「稼動会員数を増やすためには、どんな数値を見て何をすればよいのか」といったお話を紹介します。
東芝テック株式会社 FSP・コンサルティング担当
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